唐沢山城跡・唐沢山

くい違升形とする記録もあります。北の飛来矢山、南の天狗岩の間にある防備を固めた出入口です。土塁をくい違いにして直線的に侵入できないようにするなどの工夫がされています。東側は、ます形になります。

「大険山」と例えられる岩山ですが、山頂から南方や東方の視界は良好です。眺望の良さを活かし、周囲を見張る役割を果たしたものと考えられます。かつては物見櫓があったことも、大筒が掛けられていたともされています。

飛来矢山と南城の間にある口径8m、深さ9m以上の大きな井戸です。築城に際して厳島大明神に祈請したとされています。山上における水の確保は重要ですが、現在まで涸れることなく豊かな水を蓄えています。

南城方面と帯曲輪以東を分断する大きな堀切で、古地図に堀口5間、深さ2間とあります。現在神橋が架かっていますが、かつては曳橋であったとされています。いざという時に橋を引き払い、通行を遮断することができました。

当時における最終段階の大手の道筋が残されています。くい違い虎口から続く神社の手前（西側）で二の丸方面に折れて坂道を登るルートです。そして二の丸から本丸へ向かいます。

蔵屋敷、武者詰等ともいい、現在は社務所や南城館があります。周囲に石垣が巡りますが、特に南東の石垣が見応えがあります。眺望も良く、天候が恵まれたときは富士山や東京スカイツリーを望むこともできます。

本丸南西の石垣は約40m延び、南局の西側に続きます。高さ8mを越える石垣は、小田原合戦以降、佐野氏が豊臣秀吉と深い関係にあったため、西日本を中心とする技術の導入によって築かれたものと判断されます。関東では極めて珍しい貴重なものです。

追手出丸と記述する古地図もあります。周囲には石塁のような石垣が巡ります。奥御殿直番の詰所があったとされています。現在本丸への通路は直線的にアプローチしていますが、かつては鉤の手に折れていたようです。

現在、藤原秀郷公を祀った唐澤山神社がありますが、かつては奥御殿があったとされます。大手となる出入口は西側で、搦め手口は北東になります。周囲に石塁のような石垣が巡ります。本丸の南西下に高さ8mを超える見事な高石垣がただずみます。

現在は帯曲輪と二の丸の間を三の丸としています。本城では大きな曲輪です。かつては賓客の応接間があったとされます。周囲は高く急な切岸が巡りますが、部分的な石垣等が複数箇所で認められます。

古地図や記録では三の丸を含めて帯曲輪としていますが、現在では細長い平坦地を指しています。高く急な切岸と土塁を有していますが、四つ目堀を隔てた本丸側における最前線の防衛拠点であったと考えられます。

レストハウス西側下方の、古記録に長さ7間とある、そそり立つような岩盤を差します。現在は県道がこの付近を真っ直ぐ通っていますが、昭和30年代まで岩派が直進をさえぎっていました。かつてはこの付近は木戸を有して鉤の手になる重要な出入口でした。